なんかめちゃくちゃ書いてくれましたw
情報のみでなく一般的なことも最後の感想に書かれています。
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私は電気系の中でも融合情報学の方を受験したので,専門科目は大問3,4,A,Bを選択しました.選択の根拠は主に自大の選択科目とのかぶり,学部での授業で扱っているかなどです.基本的には何を選択してもいいと思いますが,情報系の受験生に選択を進めるとするならこの4問になるかと思います.ほかに選択するとすれば大問2,Eあたりでしょうか?
以下にこの4つの大問の私の対策法,感想などを述べていきます.
・情報理論
情報理論は今井先生の情報理論(今井秀樹,オーム社)で勉強しました.難しいですが,良書です.(ところどころ間違いはあります) 東大電気系の情報理論は傾向として情報量,エントロピー,情報源符号化定理と通信路符号化定理,またそれら背景のしっかりとした解釈と理解ができているかという問題が多く,なんとなく理解するだけでは歯が立ちません.念頭に置くべきことは聞かれているものの主語が何でそれの何を求めるのかということをはっきりと理解することだと思います.また,7章のガロア体以降を勉強するか否かで迷うかと思いますが,私の知る限り過去問で一度も出ていないので正直必要ないかもしれません.(自大では出る部分なので私はしっかりと勉強しました) 演習としてはこの本の演習問題で大事そうなところと自大の過去問12年分と東大の過去問H20年までを2回ずつほど解きました.戦略的な面では,情報理論は点数を稼ぎたい大問かと思うので満点目指してしっかり対策をしたいところかと思います.
情報理論
・アルゴリズム・プログラミング
アルゴリズム・プログラミングは私はあまり得意とは言えない分野です.特に2012年以降傾向が変わってからは文字列のアルゴリズムやレーベルシュタイン距離(動的計画法)など,私の大学の受験範囲外からもたくさん問題が出されており,正直最悪0点でもいいと思って試験に臨みました.
参考書としては自大の教科書に加え,アルゴリズムとデータ構造(石畑清,岩波書店) を1周読んだ後何かあるたびに参照していました.これは分厚い本ですが読みやすく,またこの本から問題が出ているように感じたので1読を勧めます.どちらにも記述のない内容に関しては,データ構造とアルゴリズム(五十嵐健夫,数理工学社)を参照していました.演習としては自大の過去問14年分を2回,東大の過去問をH20まで解きました.結局本番では8パズルを題材にした木の扱いについてのアルゴリズム設計が出されたのですが,他の問題に時間をかけたこととミスがあったので正直2割程度しか取れなかったと思います.しかし,ちゃんと志望研究室に合格したので,もしできなくても冷静に他の問題でカバーしましょう.
アルゴリズムとデータ構造 (岩波講座 ソフトウェア科学 3)
・ディジタル回路,コンピュータアーキテクチャ
この大問は個人的に1番おいしい大問だと思います.特にディジタル回路は勉強量がかなり少ない上問題もたいした難易度ではなく,満点を狙っていきたいところです.近年はディジタル回路に偏っていますが,以前はどちらも出ていた様なので時間がよほどない限りはアーキも少なくとも教科書を読む程度には対策をしたいところです.
参考書としては電子回路はディジタル電子回路(五島正裕,数理工学社)と論理回路入門(坂井修一,培風館),コンピュータアーキテクチャはコンピュータアーキテクチャ(坂井修一,コロナ社)を使いました.各々一言ずつ言うとすると,回路の方は排他的論理和の扱いに慣れておくことと余裕があるならCMOSやダイオードなどを使ったゲート設計も触っておくこと,コンピュータアーキテクチャの方は各用語が何についてのどんなものかもれなく正確に理解,記憶しておくことが大事だと思います.演習はアルゴリズムと同様の物に加え,東大のアーキの過去問が少なかったのでアーキに関しては情理の過去問を3,4年分解きました.
回路
ディジタル回路 (新・情報通信システム工学〈1〉)
論理回路入門
アーキ
コンピュータアーキテクチャ (電子情報通信レクチャーシリーズ)
・情報通信,信号処理
この大問も大問A同様,近年出題が偏っています.また,情報通信は勉強量がかなり多い科目ですが,ここはある程度安定して点数の稼げる大問なのでしっかりと対策していきたいところです.情報通信の参考書はコンピュータネットワークの構成学(村田正幸・長谷川剛,共立出版株式会社)とネットワーク工学(江崎浩,数理工学社)を使いました.後者は東大の教科書らしいのですが,広く浅い説明で正直これ1冊ではカバーできません.前者は自大用に買った参考書ですが,アルゴリズムの具体的な動作などが丁寧で本番もこの本のおかげで完投することができました.(ただし,これ1冊でも足りない) また,研究室の輪講でコンピュータネットワーク(アンドリュー・S・タネンバウム,日経BP社)を1冊やったので知識のベースはこれで身についたように思います.ただ,普通は1冊読むような本ではないので参考程度に.また,2015年に暗号が出題されていましたが,暗号に関しては情報・符号・暗号の理論(今井秀樹,コロナ社)で勉強しました.この本はリードソロモン符号や畳み込み符号の理解にも役立ったのでおすすめです.演習はアルゴリズムと全く同じだけやりました.
信号処理の参考書は自大の授業で配られたPDFで基本を勉強したのでこれは紹介できませんが,信号解析入門(越川常治,近代科学社)と詳説ディジタル・アナログ通信システム(ラシィ,丸善)を使いました.フーリエ変換,サンプリング定理とは何か(たとえばフーリエ変換はある周波数の基本波をどのくらいの割合でブレンドするかを示しているなど)などを理解していればある程度の得点はとれそうです.満点を取ろうと思うとフィルタや窓関数の完全な理解が求められそうだったので,私は8割を目指して勉強していました.(本番でませんでしたが...) 演習としては,傾向改変以降出題がなく,また自大でも出題量が少なかったため,情理の問題をかなり演習しました.
情報通信
コンピュータネットワークの構成学 -「マルチメディア情報ネットワーク」改題- (series電気・電子・情報系 4)
ネットワーク工学―インターネットとディジタル技術の基礎 (新・情報 通信システム工学)
コンピュータネットワーク 第5版
情報・符号・暗号の理論―電子情報通信レクチャーシリーズ C-1
信号処理
信号解析入門 (電子・情報基礎シリーズ)
詳説 ディジタル・アナログ通信システム 基礎編
・感想
2012, 2013が特に難しかった印象がありました.また,専門ではないですが数学の第6問確率統計は,私は情報系の学生は勉強量に対するメリットがかなり大きいので絶対手を出すべきだと思います.情報理論で確率を扱いますし,この手の確率計算は情報系の学生なら少なくとも触れては来ているはずだと思うのでリスク分散のコスパがかなりよく,また取れるときは稼げる問題です.
あと,私は行かなくて後悔しているのですが研究室訪問は必ず行くべきです.モチベーションが上がる,合う研究室が選べる,過去問,またその解答がもらえる(かも)など,たくさんのメリットがあります.勉強期間は6月第3週から初めて試験日の8/31まででした.ある程度ロングスパンの勉強になるので最初の方で飛ばしすぎないようペース配分をしっかりすることが大事です.試験1ヶ月前からの私の勉強時間はだいたい以下の感じでした.
8:00 起床
9:00 英語開始(リス,文法,リーディングの順)
11:30~14:00 昼飯,研究室
14:30 数学開始
17:00~ 専門開始
できるだけ本番に近くなるよう生活スタイルを意識していました.専門科目の自作解答をあげておくので参考にしてもらえればと思います.一応,自大(旧帝)で専攻内主席だったのである程度は参考になるかと思います.(もちろん誤りはあると思うので,盲信はしないでください)
最後に,実力があれば大学なんか関係なく将来成功できるとか,院から東大に行ってもどうせロンダとして扱われるのだから,わざわざ学部最後の夏をつぶしてまで高い金をかけて東大を受ける必要があるのかとか迷うと思いますし,私も実際そうでした.ですが,やはり東大を実際受けてみて,決して簡単な問題ではないですし,内部生でも普通に落ちうる試験なのでこの試験に合格すること,東大というブランドを手に入れることはかなり自信になりました.私はこの自信や名前の有無はこの先死ぬまでの人生でかなりの影響があると思います.迷っている方がいるなら,私はぜひ受けることを勧めます.ただ,決して中途半端な決意でできる勉強量ではないので,受けるなら覚悟を決めて受けてください.
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